AbemaTVと幼女戦記

かなり前から、行きつけの書店の棚に『それ』が並んでいたのは知っていた。ぶ厚いページ数の大型本。あきらかにラノベとは違う装丁でありながらタイトルは、
「幼女戦記」
だった。

ぼくはそのタイトルを鼻で笑った。
けれど表紙もまた重厚かつ美麗なタッチでヒロインとおもわれるその『幼女』が描かれていた。
とても、気にはなった。なりはしたが、ぼくはいい歳したオッサンである。そのオッサンが幼女戦記なんて手に取れないだろう。だからGoogle先生に尋ねることも世間の評価に耳を傾けることもないまま、棚に並ぶ『それ』はやがて視界に入っても気にならない程度には訓練されていた。

AbemaTVはアニメの宝庫だ。
オッサンであるぼくは、いやそれ以上に他人の目を気にするぼくはビデオ屋でアニメの円盤を借りることはしない。電子書籍文化の到来でエロ漫画の購入が楽になったように、アニメもCSの専門チャンネルやニコ生のおかげで多く見ることが出来るようになった。
もちろん、AbemaTVもそんなぼくには外せない存在となっている。

『それ』がアニメ化されるという話はとあるWebサイトで知った。別段興味はなくスルーしていた。本屋の棚の『原作』小説に格上げとなった『それ』をすでに無視出来るスキルを身につけていたから、「今さらアニメ化がどうした」という思いだった。

だが、それは何気ない暇つぶしから始まった。
深夜、原稿書きに奮闘するぼくがちょっとコーヒータイムを取るべくiPadProを開いてAbemaTVアプリを立ち上げる。
コーヒーカップ片手に「ろくなものやっとらん」と愚痴っていたとき、ぼくの視界に『それ』がニンマリと、背筋が凍えるほどの嘲笑を浮かべた。
「幼女……戦記か、ああこれが、そうか」

ヨーロッパ戦線を思わせる舞台で人が血塗れになって死んでいく。
重々しいテーマと、実はそこが異世界だと知った衝撃。ヒロイン(と呼びたくない)『それ』が大空を科学的理論によって描かれた魔法技術で滑空する。彼女の口から発せられるのは軍の将校が兵を鼓舞するさいに良くやるアジテーション。そして愛国心と神への祈り……否、彼女は神を否定する。

「そいつは神なんかじゃない。存在Xだ!」

細かく紡がれた設定と大胆な演出。
美しい美術に秀悦なBGMと豪華な声優陣。
アニメとしての面白さを詰め込んだ作品に、オッサンのぼくはすっかり虜になってしまった。

そうなのだ。
オッサンであるぼくであればこそ、幼女戦記を見なければならないのだ。だって幼女の正体は!

原作小説を購入した。
大企業の人事課長が書きそうなひねた文体に、この作品の奥深さを知った。
まさにそこで描かれる戦場はビジネスの現場で命を賭して戦う企業戦士を描いたもの。幼女戦記はサラリーマンたちの悲哀を書き記したオッサンたちのバイブルだったのだ。

そのテーマを胸に、ぼくは今日もAbemaTVのリピート放送を見るのだった。
最後に、一言付け加えるなら、

悠木碧ちゃんはサイコーよ!

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